【第6回】退職の作法と心得
「何故、退職するのか?」
「考え直せ」
「君の為を思って言っているんだ」
「甘いっ、君みたいな奴は次の職場に行っても通用しない!」
「とにかくっ、退職は許されない」
と、ワケの分からない5段活用で慰留(強要?)された事はありませんか?
転職先が決まったー!と喜んだのはつかの間、
在職中の人にとって次に待ち構えるのが「退職の申し入れ」。
続いて「退職日の調整/転職先への入社日調整」です。
この退職申し入れおよび退職交渉時に起こりがちなトラブルについて、
今回は書いていきます。
長年、色々な年齢層の方の転職に携わってきましたが、
「初めて転職する/退職する」人が多い20代~30歳前後までの方に、
退職時トラブルに頭を悩ますケースが多いです。
これは退職(退職交渉)経験が無いことが大きな要因かと思います。
ありがちなパターンとしては下記4つ。
①退職を受け付けてもらえない、とりあってもらえない(退職願/届の非受理)
②退職は受理されたが、退職日までの期間が長くなってしまう
③設定していた退職日が会社側の都合で先延ばしになる
④有給休暇、定期賞与、退職金などの対応におけるトラブル
一番多いのが①のパターンです。
転職先が決まり、新天地への第一ステップとして、
勤務先(上司、人事)に退職を申し入れるも、受け付けてもらえない。
で、冒頭のような五段活用が上司から発せられる。
初めて退職交渉をされる方の中には、この慰留(強要)を
「何故、上司はこんな事を言うのだろう?」と不思議に思う方も多いでしょう。
「えっ、本当に?何故?何が理由なの?何があったの?」
と心から驚き、あなたを理解しようと努めているのでしょうか?
「有能な部下/社員である貴方に退職されると、
会社や職場と上司である自分が本当に困ってしまうから」
「本当に貴方のことを心から考えて、まだ辞めない方が良いと思っているから」
「辞めるのは一向に構わないし、貴方は別に慰留したい人材でもない。
でも上司/人事としての自分の査定/印象が悪くなるのだけは避けたいから」
「会社四季報の3年以内離職率が高くなるから、3年以内の退職は
慰留するように人事から厳命が来ているから」
「ワシもはよ会社を辞めたいんじゃ、お前を先に辞めさせてたまるかい!」
どれが真実かは、神のみぞ知るです。
この際に重要なのは、
「既に退職の決意は固まっており、次の仕事も決まっています。
あとは引継ぎなどのスケジューリングも含めて、退職手続きを進めさせて頂きたく。」
と、あなたの退職/転職への意思・覚悟が既に強く固まっており、
慰留をしてもムダだ、と上司/会社に最初の時点で理解してもらうことです。
逆に「あ、コイツはまだ覚悟出来ていない、揺らいでいる、脅せば従う」
と一旦思われてしまうと、泥沼の長期戦になる可能性が高くなってしまいます。
通常は退職通知をする時点で既に決断が出来ている訳ですから、
あとは円満に粛々と手続き/引継ぎを進めて
「飛ぶ鳥、後を濁さす」を実践していくのが大人のお作法です。
ただし時と場合によっては
「飛ぶ鳥、後ろ足で砂を掛けまくって飛び立つ」も必要でしょう。
このコラムと続きを読んで頂いた皆様に、良いご縁がありますように。
(K)